最新機能までを総ざらい！PostgreSQLの注目機能を振り返る（第32回 中国地方DB勉強会 in 岡山 発表資料）
- 1. © 2023 NTT DATA Group Corporation - 最新機能までを総ざらい！- PostgreSQLの 注目機能を振り返る 2023/10/7 株式会社NTTデータグループ 小林 隆浩
- 2. © 2023 NTT DATA Group Corporation 3 アジェンダ 01. PostgreSQLリリースを振り返る（2021-2023） 02. PostgreSQL v14の注目機能 03. PostgreSQL v15の注目機能 04. PostgreSQL v16の注目機能 05. まとめ （おまけ）各クラウドのバージョン対応状況
- 3. © 2023 NTT DATA Group Corporation 4 （セッションの注意事項） ⚫ PostgreSQL各バージョンの新機能全てを網羅した内容ではありません。 ⚫ 全て知りたいという方は、以下を調べましょう。 ⚫ 公式リリースノート ⚫ SRA OSS Tech Blog 「PostgreSQL 14/15/16 検証報告」 ⚫ 篠田の虎の巻 「PostgreSQL 14/15/16 新機能検証結果」 各バージョンのリンクは、Let’ｓ POSTGRESにまとまっています。 PostgreSQL14の新機能 | Let's POSTGRES PostgreSQL15の新機能 | Let's POSTGRES PostgreSQL16の新機能 | Let's POSTGRES
- 4. © 2023 NTT DATA Group Corporation 5 01. PostgreSQLリリースを振り返る （2021-2023） 5
- 5. © 2023 NTT DATA Group Corporation 6 サマリ：各バージョンの新機能 v15 (2022年) v16 (2023年) ①SQL ②ロジカル レプリケーション ③性能改善 ④バックアップ ⑤モニタリング ⑥ロール • publicスキーマの権限変更 • MERGE • REGEXP系 • 行/列フィルタ • lsn指定の同期スキップ • エラー時の無効化 • NOT INや外部ソート • ¥copyの改善 • archive_module • WAL/ pg_basebackup圧縮 • pg_stat_subscription_stats • JSON形式のログ • pg_checkpoint • JSON関数、IS JSON • ANY_VALUE • libpq接続ロードバランシング • スタンバイからレプリケーション • パラレル適用 • 双方向 • パラレルクエリ、インクリメンタ ルソートの拡張 • pg_dump圧縮(lz4/zstd) • pg_stat_io • pg_create_subscription • pg_use_reserved_connections v14 (2021年) • SEARCH/CYCLE • postgres_fdw • ストリーム送信 • バイナリ転送 • Memoize • Bottom-up Index Deletion • VACUUM改善 • pg_stat_wal • pg_stat_progress_copy • pg_read/write_all_data
- 6. © 2023 NTT DATA Group Corporation 7 02. PostgreSQL v14の注目機能 7
- 7. © 2023 NTT DATA Group Corporation 8 紹介する新機能（PostgreSQL v14） ①新しいSQL（関数など） ②ロジカルレプリケーションの拡張 ③性能改善 ④WALやバックアップ関連の改善 ⑤モニタリング関連 ⑥ロールの追加等 v14
- 8. © 2023 NTT DATA Group Corporation 9 ①新しいSQL（関数等） ⚫ SEARCH句とCYCLE句 ✓ グラフのデータ構造に対して再帰的な問い合わせが シンプルに書けるように。 ✓ SEARCHで探索順序（幅優先/深さ優先）を 指定でき、CYCLEで循環参照の検出が可能。 ⚫ パーティションデタッチ時のロック軽減 ✓ ALTER TABLE … DETACH PARTITION CONCURRENTLY ✓ AccessExclusiveLockを取らなくなる。 v14 1 2 3 5 4
- 9. © 2023 NTT DATA Group Corporation 10 ①新しいSQL（関数等） - postgres_fdw - ⚫ 外部テーブルのTRUNCATE ✓ truncatableオプションを指定可能、デフォルトはtrue ⚫ 外部テーブルの非同期スキャン ⚫ async_capableオプションで指定可能、デフォルトはfalse ⚫ Async Foreign Scanが同時並行で実行される。 ⚫ 外部テーブルの一括コピー ✓ batch_sizeで指定可能、デフォルトは1 ✓ 大量挿入時に1行ずつINSERT文が送信されていたが、これをまとめるように。 v14
- 10. © 2023 NTT DATA Group Corporation 11 ②ロジカルレプリケーションの拡張 - streaming - ⚫ ストリーム送信 ✓ 13以前はパブリッシャ側でファイルに書き込み、コミットで送信（大量変更時の性能↓） ✓ WITH (streaming = on)でコミットを待たずに順次変更を送信 v14 WALsender Apply Worker デコード結果を保持 メモリの制限を超えると デコードされた変更を ストリーミングで送信 残りの変更を送信 適用した変更のCOMMIT 変更を一時ファイル(changes) に書き込む 変更を読み取り適用 パブリッシャ サブスクライバ
- 11. © 2023 NTT DATA Group Corporation 12 ②ロジカルレプリケーションの拡張 - その他 - ⚫ 初期同期時の更新を複数トランザクション化 ✓ 13以前、「初期コピー」と「初期コピー中の他の更新」が単一トランザクション ⇒ロングトラン化する。更にエラーで全てロールバックされてしまい、やり直しが発生。 ✓ 上記が分離され、初期コピー完了後にデータ参照可。その後、他の更新を同期。 ⚫ バイナリ転送 ✓ CREATE PUBLICATIONでWITH (binary = on)を指定して、バイナリ転送が可能に。 ✓ timestamp型やbytea型など一部で性能改善が見込まれる。 v14
- 12. © 2023 NTT DATA Group Corporation 13 Memoizeの キャッシュ (バックエンドプロセス内) ③性能改善 - Memoize - ⚫ Nested Loopで一部のケースをキャッシュを使って、性能を改善する ✓ enable_memoizeで制御できる（デフォルトon） 例）以下で FROM Tbl1 JOIN ON Tbl2 Tbl1.key = Tbl2.key Tbl1のkey1のカーディナリティが低く、Tbl2のkeyのカーディナリティは高いケースで有効。 Memoizeなしの場合、Tbl1の1行ごとにTbl2をIndex Scanして結合するが件数が増えるとオーバーヘッド大。 v14 Memoizeをもっと詳しく知りたい方は、第41回PGアンカンファレンスの「Memoizeの仕組み」 by 笠原さんを参照してください。 Tbl1 1 1 ... … key1 2 … 2 … Tbl2 1 2 ... … 3 … 4 … 1 2 ... … key1 通常は初回にキャッシュ、 キャッシュされたレコードは Tbl2を参照しない
- 13. © 2023 NTT DATA Group Corporation 14 ③性能改善 - Bottom-up Index Deletion - ⚫ B-Treeインデックスの肥大化抑止 ✓ インデックスのタプル削除＋重複削除(v13)＋Bottom-up Index Deletion ✓ インデックスのページ分割を防ぐ （HOTは上記の対象外。肥大化を防ぐために、まずはHOTを考えよう。） v14 Table1 Index1 Index2 X Y 100 100 ... … 100 100 X Y ①Index2の対象列を更新 ※HOTではない ②’ こちらにも タプルが追加される ② 新しいタプルが 追加される ③不要なインデックスタプルを 積極的に削除する
- 14. © 2023 NTT DATA Group Corporation 15 ③性能改善 ⚫ パラレルクエリの拡張 ✓ REFRESH MATERIALIZED VIEW が並列問い合わせを実行可能に。 ⚫ VACUUMコマンドの改善 ✓ INDEX_CLEANUP=auto（デフォルト）で、処理が長くなる事の多いインデックスの Vacuumが（必要に応じて）スキップされる。 ✓ Failsafeモードが導入され、XID周回が近づいた際にFreeze以外の処理をスキップ。 v14
- 15. © 2023 NTT DATA Group Corporation 16 ⑤モニタリング関連 ⚫ pg_stat_wal ✓ WALの生成と書き込みに関する情報を表示 ⚫ pg_stat_progress_copy ✓ COPYコマンドの進捗状況を確認 ⚫ pg_stats_ext_expr ✓ 式を使った拡張統計の情報を表示 ⚫ トランザクション周回の警告閾値が変更 ⚫ log_autovacuum_min_durationにインデックスの詳細情報が出るように v14
- 16. © 2023 NTT DATA Group Corporation 17 ⑥ロールの追加等 ⚫ 3つのロールが追加された。 v14 ロール名 概要 pg_database_owner データベース所有者で構成される pg_read_all_data 全スキーマのテーブル、ビュー、シーケンスを参照できる。 スキーマのUSAGE権限、オブジェクトのSELECT権限に相当。 pg_write_all_data 全スキーマのテーブル、ビュー、シーケンスを参照できる。 スキーマのUSAGE権限、オブジェクトのINSERT、UPDATE、 DELETE権限に相当。
- 17. © 2023 NTT DATA Group Corporation 18 03. PostgreSQL v15の注目機能 1
- 18. © 2023 NTT DATA Group Corporation 19 紹介する新機能（PostgreSQL v15） ①新しいSQL（関数など） ②ロジカルレプリケーションの拡張 ③性能改善 ④WALやバックアップ関連の改善 ⑤モニタリング関連 ⑥ロールの追加等 v15
- 19. © 2023 NTT DATA Group Corporation 20 ①新しいSQL（関数等） - 注意すべき変更 - ⚫ publicスキーマに対するCREATE、USAGE権限を削除 ✓ セキュリティ対応（CVE-2018-1058） ✓ 15からはpublicスキーマへのアクセスは、pg_database_ownerが必要 （基本的にスーパーユーザとデータベース所有者） ✓ 14以前からのデータベースをリストアした際にも適用される ⇒バージョンアップ時に注意 v15
- 20. © 2023 NTT DATA Group Corporation 21 ①新しいSQL（関数等） - MERGE - ⚫ 条件に応じて、INSERT/UPDATE/DELETEを単一SQLで実行 ✓ MERGE INTO テーブル名 USING 結合元テーブル ON 結合条件 WHEN MATCHED 条件 THEN UPDATE SET … / DELETE / DO NOTHING WHEN NOT MATCHED INSERT VALUES … / DO NOTHING ✓ 結合条件にマッチした場合 ⇒ UPDATE / DELETE / 何もしない ✓ 結合条件にマッチしなかった場合 ⇒ INSERT / 何もしない v15
- 21. © 2023 NTT DATA Group Corporation 22 （補足）MERGEとそれまでのINSERT文の違い ⚫ 他のUPSERT方法である、INSERT … ON CONFLICTとの違い ✓ MERGEは、対象テーブルを外部結合し、結果行についてUPDATE/INSERT ✓ INSERT ... ON CONFLICTは、まずINSERTして重複で失敗したものについて UPDATEを行う。 ✓ INSERT INTO テーブル名 VALUES (…) ON CONFLICT (制約名) DO UPDATE SET c1 = EXCLUDED.c1 , c2 = EXCLUDED.c2; ✓ 実行時の性能特性も異なる。 v15
- 22. © 2023 NTT DATA Group Corporation 23 ①新しいSQL（関数等） - その他 - ⚫ REGEXP_で始まる5つの関数の追加 関数 出力結果 REGEXP_COUNT パターンにマッチする個数 REGEXP_INSTR パターンにマッチする位置 （引数で開始位置/終了のどちらかを指定） REGEXP_LIKE パターンにマッチすればtrue、そうでなければfalse REGEXP_SUBSTR パターンにマッチした文字列 REGEXP_REPLACE パターンにマッチした部分を置換して返す （15で対象範囲の指定を引数で可能になった） ⚫ 集約関数RANGE_AGGの追加 ✓ 複数行の範囲型データ（int4range等）を多重範囲型に集約 v15
- 23. © 2023 NTT DATA Group Corporation 24 Schema1 ②ロジカルレプリケーションの拡張 ⚫ PUBLICATIONの対象をスキーマ単位で指定したり、列/行でフィルタ可能に。 ⚫ サブスクライバでスキップ(LSN指定)したり、エラー時の無効化が可能に。 v15 Schema1 エラー発生時に該当更新の同期を $ ALTER SUBSCRIPTION ... SKIP (LSN=‘lsnの値’) でスキップが可能。 また、SUBSCRIPTIONに disable_on_error=true を指定して、エラー時に無効化する 設定が可能。 パブリッシャ サブスクライバ Table1 1 Table2 Table1 Table2 PUBLICATION で行を指定 PUBLICATION で列を指定 スキーマ一括で PUBLICATION指定も可
- 24. © 2023 NTT DATA Group Corporation 25 ③性能改善 ⚫ NOT IN句の改善 ✓ 内部でハッシュテーブルを使うように変更された（実行計画は変化なし） ⚫ ソート性能の改善 ✓ 外部ソート（Sort Method: external merge）のアルゴリズム変更 ⚫ ウィンドウ関数の改善 ✓ ROW_NUMBER、RANK、COUNTで一部の実行計画を改善 ⚫ ¥copy fromの改善 ✓ 1行単位のCopyDataメッセージをまとめることで改善 v15
- 25. © 2023 NTT DATA Group Corporation 26 ④WALやバックアップ関連 ⚫ WAL関連の改善 ✓ モジュールによるアーカイブが可能に。 ✓ archive_libraryでモジュール名を指定。 ✓ archive_commandよりも柔軟性の高いアーカイブが可能になった。 ✓ 15時点で優先度はarchive_library > archive_command ✓ WAL圧縮でzstd/lz4が指定可能に。 ✓ configureで、--with-zstd/--with-lz4が必要。 ✓ wal_compressionは、pglz/zstd/lz4/on(=pglz)/offを指定可能。 ⚫ pg_basebackupの改善 ✓ --compressオプションで圧縮が可能、形式(gzip/zstd/lz4)とレベルを指定。 ✓ --targetオプションでバックアップの取得先をclientやserverで選べる。ちなみに blackholeも指定でき、この場合バックアップは取られない。 v15
- 26. © 2023 NTT DATA Group Corporation 27 ⑤モニタリング関連 ⚫ pg_stat_subscription_statsの追加 ✓ ロジカルレプリケーションの同期エラーを表示 ✓ サブスクリプションごとに1行、初期同期と更新適用の失敗がカウントされる ⚫ pg_ident_file_mappingsの追加 ✓ pg_ident.confの内容を表示 ⚫ JSON形式でログ出力が可能に ✓ log_destinataion=jsonlogが指定可能になった ✓ 従来のstderr/csvlog/syslogは変わらず ⚫ log_checkpointのデフォルト値変更 ✓ 14以前はデフォルトoff、15からデフォルトがonになった v15
- 27. © 2023 NTT DATA Group Corporation 28 ⑥ロールの追加等 ⚫ 以下のロールが追加された。 ロール名 概要 pg_checkpoint CHECKPOINTのコマンドが実行可能 v15
- 28. © 2023 NTT DATA Group Corporation 29 04. PostgreSQL v16の注目機能 2
- 29. © 2023 NTT DATA Group Corporation 30 紹介する新機能（PostgreSQL v16） ①新しいSQL（関数など） ②ロジカルレプリケーションの拡張 ③性能改善 ④WALやバックアップ関連の改善 ⑤モニタリング関連 ⑥ロールの追加等 v16
- 30. © 2023 NTT DATA Group Corporation 31 ①新しいSQL（関数等） - JSON関連 - ⚫ JSON関連の機能追加 関数 変換元 変換先 JSON_OBJECT テキスト配列 JSONオブジェクト JSON_OBJECTAGG 複数行のデータ(SELECT結果等) JSONオブジェクト JSON_ARRAY スカラ値やJSONデータ JSON配列 JSON_ARRAYAGG 複数行のデータ JSON配列 述語 判定内容 (true/false) IS JSON JSONとして解釈できるか IS JSON ARRAY JSON配列として解釈できるか IS JSON OBJECT JSONオブジェクトとして解釈できるか IS JSON SCALAR JSONのスカラ値として解釈できるか v16
- 31. © 2023 NTT DATA Group Corporation 32 ①新しいSQL/構文 - その他 - ⚫ ANY_VALUE ✓ GROUP BYに含まれない列を集計関数を使わずに参照するとエラー。 ✓ 解消方法：GROUP BYに列を含める、またはMIN/MAX/ANY_VALUE ⚫ 数値リテラル ✓ 2/8/16進数を表現することが可能に。 ✓ （2進数）0b1001=9 （8進数）0o25=21 （16進数）0x32=50 ⚫ ICUロケールの拡張 ✓ 15以前はICUライブラリを照合順序で有効にするには、configure時に --with-icuが必要。 ✓ 16ではデフォルトで有効となり、除外する際に--without-icuが必要。 ✓ これまでのconfigureが通らないケースも発生するので注意。 v16
- 32. © 2023 NTT DATA Group Corporation 33 ①新しいSQL/構文 - libpqロードバランシング - ⚫ 複数ホストからランダムな接続が可能に ✓ 接続パラメータのload_balance_hosts=randomと、複数ホストのリストを指定。 ✓ デフォルトだとload_balance_hosts=disableで、ラウンドロビンになる。 ✓ psqlなどlibpqを使うアプリケーションで利用可能 v16 client psql “host=aaa,bbb,ccc load_balance_hosts=random” host=aaa host=bbb host=ccc 接続先をランダムに選択、 エラー時は別の接続を試す
- 33. © 2023 NTT DATA Group Corporation 34 ②ロジカルレプリケーションの拡張 - スタンバイからのレプリケーション - ⚫ ストリーミングレプリケーションのスタンバイを、パブリッシャーとして構成可能 プライマリ スタンバイ パブリッシャ パブリッシャ サブスクライバ ロジカル レプリケーション ストリーミング レプリケーション PUBLICATION SUBSCRIPTION PUBLICATION • PUBLICATIONはプライマリで作成 • pg_log_standby_snapshotでスタンバイへ のレプリケーションのスロットを即時反映 v16
- 34. © 2023 NTT DATA Group Corporation 35 ②ロジカルレプリケーションの拡張 - steaming = parallel - ⚫ 15以前でstreamingオプションはon/offだったが、parallelが追加 ✓ CREATE SUBSCRIPTION sub_1 CONNECTION ‘port=5432 dbname=pub_db’ PUBLICATION pub WITH (streaming = parallel); v16 WALsender Parallel Apply Worker Apply Worker デコード結果を保持 メモリの制限を超えると デコードされた変更を ストリーミングで送信 (これはおそらくv14同等) COMMIT時に全変更を 一度に送信 COMMITを指示 並列ワーカを 起動 変更を適用 メッセージ送信 max_parallel_apply_workers_per_subscriptionでワーカ数を指定 パブリッシャ サブスクライバ
- 35. © 2023 NTT DATA Group Corporation 36 テーブルA テーブルA ②ロジカルレプリケーションの拡張 - 双方向レプリケーション - ⚫ 15までは双方向レプリケーションをすると循環してしまっていた。 ⚫ 16から with (origin=none) が追加、双方向で更新が可能に。 ✓ 同一キーでの挿入など、衝突が起きるケースがある。 ✓ 衝突時は手動でスキップするなどの対応が必要。 v16 PUBLICATION SUBSCRIPTION PUBLICATION SUBSCRIPTION origin=none origin=none パブリッシャにoriginを持たない変更のみの送信を要求
- 36. © 2023 NTT DATA Group Corporation 37 ②ロジカルレプリケーションの拡張 - その他 - ⚫ 初期コピーでバイナリ形式が利用可に ✓ パブ/サブどちらも16以上 ＆ サブスクリプションで with (binary = on) ✓ 初期データ移行もバイナリ形式で転送可 (15以前はテキスト形式のみ） ✓ 一部データ型が含まれる場合、所要時間が短縮されることがある。 ⚫ Primary Key以外のインデックスが利用可に ✓ replica identity fullを指定した際、15以前ではフルスキャン。 ✓ 16ではPrimary Key以外のインデックスを利用して、サブスクライバ側のデータ同期性 能が向上。 v16
- 37. © 2023 NTT DATA Group Corporation 38 ③性能改善 ⚫ パラレルクエリの拡張 ✓ right outer join/full outer joinでパラレルクエリをサポート。 ✓ 実行計画にParallel Hash Full Joinが登場するように 。 ✓ string_arg、array_argで集約処理の一部をパラレルに実行、実行計画上はPartial Aggregateが表示される。 ⚫ インクリメンタルソートの拡張 ✓ インクリメンタルソート自体は13で登場、インデックスを利用して一部のソートを高速化。 ディスクソートも避けられる。15まではSELECT DISTINCTは対象外。 ✓ 16からSELECT DISTINCTでも、Incremental Sortが使われるように。 v16
- 38. © 2023 NTT DATA Group Corporation 39 ④WALやバックアップ関連の改善 ⚫ pg_dumpでlz4とzstdに対応 ✓ -zまたは--compressで、gzip/lz4/zstdと圧縮レベルを指定可能（noneで非圧縮） ✓ 15以前はgzipのみ ⚫ archive_commandとarchive_libraryの同時指定不可 ✓ 15で追加されたarchive_libraryパラメータ、15時点ではarchive_commandと同時 に指定可能（archive_libraryが優先される） ✓ 16では同時に追加できない、設定ファイルの書き方に注意 v16
- 39. © 2023 NTT DATA Group Corporation 40 ⑤モニタリング関連 ⚫ pg_stat_ioビューの追加 ✓ PostgreSQLのIOに関連する統計情報を表示 ✓ OSレベルでは調べるのが難しい、共有バッファ内のreadなども見れるように ✓ 今後、各種ツールでも対応が進むと思われる v16
- 40. © 2023 NTT DATA Group Corporation 41 ⑥ロールの追加等 ⚫ 2つのロールが追加された。 ロール名 概要 pg_create_subscription スーパーユーザ以外でも、CREATE SUBSCRIPTIONが可能 pg_use_reserved_connections reserved_connectionsで予約した接続数を使って接続が可能。 なお、実際のコネクションは以下でカウントされるため、利用時に注 意が必要。 max_connections = superuser_reserved_connection + reserved_connection + その他一般ユーザ pg_maintain （VACUUMやANALYZE等ができる権限だったがリバートされた） v16
- 41. © 2023 NTT DATA Group Corporation 42 05. まとめ 4
- 42. © 2023 NTT DATA Group Corporation 43 （再掲）サマリ：各バージョンの新機能 ①SQL ②ロジカル レプリケーション ③性能改善 ④バックアップ ⑤モニタリング ⑥ロール • publicスキーマの権限変更 • MERGE • REGEXP系 • 行/列フィルタ • lsn指定の同期スキップ • エラー時の無効化 • NOT INや外部ソート • ¥copyの改善 • archive_module • WAL/ pg_basebackup圧縮 • pg_stat_subscription_stats • JSON形式のログ • pg_checkpoint • SEARCH/CYCLE • postgres_fdw • ストリーム送信 • バイナリ転送 • Memoize • Bottom-up Index Deletion • VACUUM改善 • pg_stat_wal • pg_stat_progress_copy • pg_read/write_all_data • JSON関数、IS JSON • ANY_VALUE • libpq接続ロードバランシング • スタンバイからレプリケーション • パラレル適用 • 双方向 • パラレルクエリ、インクリメンタ ルソートの拡張 • pg_dump圧縮(lz4/zstd) • pg_stat_io • pg_create_subscription • pg_use_reserved_connections 開発者向け、使いたいSQLがあればどんどんバージョンアップを ロジカルレプリケーションを使い倒したいなら、最新バージョンを使おう 地道な性能改善の取り込みを意識しよう 実行計画も新しくなるので、バージョンアップ後は知識のアップデートも必要 どちらかと言うとDB管理者向け、クラウド利用の場合はメリット少なめ オンプレ/自前で大量DB管理するケースでバージョンアップのメリット大きい v15 (2022年) v16 (2023年) v14 (2021年)
- 43. © 2023 NTT DATA Group Corporation 44 さて、PostgreSQL v17はどうなる？ ※あくまで予想です v14 v15 v16 v17 • publicスキーマの権限 • MERGE • REGEXP系 • 行/列フィルタ • lsn指定の同期スキップ • エラー時の無効化 • NOT INや外部ソート • ¥copyの改善 • archive_module • WAL/ pg_basebackup圧縮 • pg_stat_subscription_stats • JSON形式のログ • pg_checkpoint • SEARCH/CYCLE • postgres_fdw • ストリーム送信 • バイナリ転送 • Memoize • Bottom-up Index Deletion • VACUUM改善 • pg_stat_wal • pg_stat_progress_copy • pg_read/write_all_data • JSON関数、IS JSON • ANY_VALUE • libpq接続ロードバランシング • スタンバイから • パラレル適用 • 双方向 • パラレルクエリ、 インクリメンタルソートの 拡張 • pg_dump圧縮(lz4/zstd) • pg_stat_io • pg_create_subscription • pg_use_reserved_connections ①SQL ③性能改善 ④バックアップ ⑤モニタリング ⑥ロール ②ロジカル レプリケーション • SQL/JSON関連 • 透過的カラム暗号化 • Table AMのAPI拡張 • DDLやSeqの対応 • Time-delayed • Async IO • ロックの改善 • 64bit XID(freeze削減) • Incremental Backup • WALサイズの削減 • 一部コマンドでsuperuser権限が 不要に
- 44. © 2023 NTT DATA Group Corporation 45 （おまけ）クラウドにおける対応状況 ⚫ 2023/10時点の各社サービスのPostgreSQLバージョン対応状況 クラウド サービス名 PostgreSQL Ver. 備考 AWS RDS for PostgreSQL 11 - 15 16はプレビュー Aurora PostgreSQL 11 - 15 LTS 12.9/13.9/14.6 Azure Azure Database for PostgreSQL 11 - 15 Cosmos DB for PostgreSQL 11 - 16 Google Cloud Cloud SQL for PostgreSQL 9.6 - 15 Enterprise Plusは14,15 Alloy DB for PostgreSQL 14互換 PostgreSQL interface for Spanner - 完全な互換性はない OCI OCI Database for PostgreSQL 14.9 2023/12？